11月に入り、だんだん寒くなってきましたね。
そろそろスキーの季節がやってきました。
ベテランスキーヤ-も今年初めてスキーをする人も、スキーシーズンの到来を楽しみにしているのではないでしょうか。
さて、だんだんスキーがうまくなってくると、自分のスキー板が欲しくなってきます。
そして自分の板を持つと愛着が湧き、練習にも精がでます。技術も向上していきます。
スキー板がどんな風にできているのか、少し考えてみましょう。
スキー板の素材から作り方、細かい違いをみていきます。
スキー板の素材
スキー板の構造は、かつては1枚板でした。50年ほど前から合板での製作技術が進歩し、今では複数枚の素材を重ねて作られています。
スキー板の各部名称
それぞれ以下のようにわかれます。
・コア部:スキー板の心となる部分
・トップシート部:コア部を合成素材で被覆した部分
・ソール部:滑走面となる部分。ワックスを塗るのもこの部分
・エッジ部:ソールの両端にある金属部分
それぞれの素材はというと、
・コア部:ウッドやプラスチック
・トップシート部:メタルやカーボンやモノコックやグラスファイバー
・ソール部:ポリカーボネート
・エッジ部:金属(合金類)
となっています。最近は板の軽量化を図るため、これ以外にも様々な素材が使用されています。
スキーの部品にもきちんと名称があるんですよね。僕も名称を覚えることで、スキー技術の習得の際、理屈で考えやすくなった感じがしました。
スキー板の構造
コア部分にトップシート部分やソール部分をどのように挟み込むかで、板の構造化が変化します。現在の主流は、以下の2つの構造です。
・サンドウィッチ構造
・キャップ構造
それぞれの特徴をみてみましょう。
サンドウィッチ構造
コア部分をトップシート部分とソール部分によって挟み込みます。サンドウィッチのような構造となるので、サンドウィッチ構造とよばれています。
特徴は、
・振動吸収に優れる。
・板が重くなりやすい。
・上級者モデルに多い。
キャップ構造
ソール部分の上にコア部分を配置し、トップシート部分で両者を覆います。キャップを構造になるので、キャップ構造と呼ばれています。
特徴は、
・サンドウィッチ構造と比較すると振動吸収がやや劣る
・雪面に力を伝えやすく、スキー操作が簡単になる
・初級~中級者モデルに多い。
それぞれに、以上のような特徴があります。ただし、最近は、製造工程の関係からサンドウィッチ構造の板が多くなっている傾向があります。
自分も初心者のころはキャップ構造でしたが、技術向上に伴って、サンドイッチ構造の板を扱うようになりました。ちなみにスキー部に所属したことはなく、あくまで趣味の範囲で細々と続けてきました。その程度でも、なんとかどんな斜面でも滑り降りられるレベルになりました。
スキー板の種類
スキー板の種類はおおまかに以下のように分類されます。これ以外の分け方もありますし、近年は細分化が進んでいます。
・デモスキー
・オールラウンドスキー
・フリーライドスキー
・フリースタイルスキー
・モーグルスキー
どのタイプのスキーでも、サンドウィッチ構造かキャップ構造を採用し、素材として採用されている木材や合成繊維も似ています。
スキー板はどこが違うのか
それぞれの違いは、以下の要素で現れます。
・ねじれ(トーション):板のねじれ具合
・しなやかさ(フレックス):板のしなり具合。たわみに対する強さ。
・スリーサイズ:板のトップ、ウエスト、テールのサイズ
・サイドカーブ:スキー板の回転弧
自分で板を購入する際、これらを目安にすると選びやすくなると思いますし、数多くの板で自分に必要なモデルを効率よく選べるようになりますよ。
トーション
トーションは板のねじれ具合です。これが弱いと板のグリップ力が弱くなりますが、反面、雪面でのずらしはしやすくなります。
大雑把には
トーションが弱い:初級者向け
トーションが強い:上級者向け
となります。初級者にとっては、スピードコントロールのためにずらしの多い滑りを取り入れた方が安全です。一方、上級者ではスピードに乗ったアクティブな滑りとなるため、ずらしが少なく、ターン時のグリップをしやすい方が向いています。
フレックス
板のしなやかさ、たわみやすさです。板の曲がりやすさともいえます。
スキー板は多かれ少なかれ、雪面から力を受けると曲がります。
フレックスが柔らかいと曲がりやすく、硬いと曲がりにくいのです。
ただし、曲がりやすいというのは、スキー板にあまりうまく乗れていなくも曲がってしまうということでもあります。
よって、
フレックスが弱い(柔らかい):初級者向け
フレックスが強い(硬い):上級者向け
となります。
スリーサイズ
人間にもスリーサイズがありますが、スキー板にもスリーサイズがあります。次の3つのサイズです。
・トップ:スキー板前方の一番太い部分
・ウエスト:スキー板中央の一番細い部分
・テール:スキー板後方の一番太い部分
スキー板は前方が太く、中央になるに従って細くなり、後方で再び太くなるのでこのような表現になります。
スキー板の種類によってどの部分もまちまちですが、ウエスト部分を目安にするとわかりやすいです。
・デモスキー:65~70mm前後
・オールラウンドスキー:65~70mm前後
どちらの板も用途が共通する部分が多いので、ウエスト幅も同程度です。
小回り中心なら60~65mm、大回り中心なら70mmがよいでしょう。
・フリーライドスキー:85~100mm前後(非圧雪面は100mm以上)
・フリースタイルスキー:75~90mm前後(用途によりさまざま)
・モーグルスキー:63~67mm前後
サイドカーブ
スキー板が描く円弧の大きさです。R(半径;メートル)で表します。板のスリーサイズに左右されます。
Rが小さい:小回り
Rが大きい:大回り
とイメージしがちですが、サイドカーブは板のスリーサイズだけでなく、フレックス、トーション、雪面状況など、様々な複合的要素の結果です。
一応の目安は次の通りです。
・デモスキー:15~19m
小回り…13~15m、大回り…17~27m程度が目安です。
・オールラウンドスキー:13~15m
・フリーライドスキー:目安なし
・フリースタイルスキー:目安なし
・モーグルスキー:20~22m程度
詳しくは店頭でそれぞれの板をみてみるとわかりやすいと思います。
また、同じ数値の板でも人によって感じ方はそれぞれなので、試乗会に参加してみるのもおすすめです。
各メーカーの主力の板を色々試すことができます。
スキー板の滑走面
スキー板のなかでは、他と独立しているイメージがある滑走面(ソール面)についてです。
素材はポリエチレンです。滑走時に地面に接する面なのですべすべしています。
ちなみに、滑走面にワックスをかけることで滑走性を調整できます。ワックスはパラフィン素材でできています。
なお、ワックスは常にスキー袋に常備しておくことをおすすめします。いざゲレンデで購入しようとしても目当てのものがなかったり、割高だったりするためです。
滑走面の違い
どのスキー板も、ソール面の見た目は同じく真っ黒です。ただ、このソール面にもいくつか違いがあります。滑走面の厚さは1.5~2mmくらいです。
ソール面は、ポリエチレンの製造方法により2種類にわかれます。
・エクストルード製法
・シンタード製法
エクスクルード製法は、ポリエチレンを熱で溶かして板状に伸ばします。
シンダート製法は、ポリエチレンを鋳型で固めて削り出します。
滑走面の製造で有名なのは、P-TEX(IMS PLASTIC社、スイス)です。
エクストルード≦P-TEX 1000
シンタード≧P-TEX 2000
末尾の数字は、ポリエチレンの分子量を表します。大きい分子量の方が強度が高く、ワックスの吸収性も高いです。上級者用のモデルでは、シンダートが向いています。
なお、ソール面の真っ黒は、グラファイト(炭素繊維)の影響です。グラファイトは静電気を除去する目的で使用されています。炭素は電気をよく通しますよね。
ひたすら滑走性を追求したくても・・・
高い滑走性を求めるならシンタードがよさそうですが、メンテナンスをしっかりしないといけません。ワックスを吸収しやすい分、汚れも吸収しやすいのです。また、分子量が大きいということは目が細かいのです。その分、劣化した場合の手入れも大変です。分子量が小さい方が、目が粗い分、手入れは楽です。
この対処法としては、ベースワックスをしっかり塗ることです。個人では手間がかかることも多いので、年に1度は業者でワックスがけを依頼するといいかもしれません。
私も1回3000円~5000円程度で、毎年シーズン終了後にメンテナンス作業を依頼しています。オフシーズンは使用しない期間も長くなるため、きちんとメンテナンスをしておいた方が、次のシーズンが来た時にすぐ板が使用できて快適です。またぱっとみただけ見えない汚れもきちんと落としてくれるので、錆防止につながり板を長期間利用できます。しっかり手入れすれば、10年以上は使用できます。
まとめ
スキー板ひとつとっても、これだけ様々なことが関係してきます。
スキー板を新しく購入する方、買い替える方の参考になればと思います。
スキー板を詳しく知ると、それだけスキーも楽しくなりますね。自分の道具としての愛着、ぴったりフィットしているため、レベルアップもしやすいなど、マイスキーをもつことには多くのメリットがあります。
がっつりスキーに取り組んでみたいという方は、ぜひ思い切って、自分の板を購入してみてはどうでしょうか。きっと新たな発見があります。