”マイル修行”という言葉を聞いたことがありますか?
航空会社の上級会員資格を取得するために、飛行機にたくさん登場することをいいます。
各航空会社ごとに独自の基準がありますが、なかなか達成がむずかしいのです。
私は2018年に上級会員になりました。2018年1月~6月にかけてマイル修行を実施しました。2018年11月には、修行で得たマイルを使用して、特典航空券を取得しハワイに行くことができました。
修行は大変なこともありますが、ステータスを取得した時の達成感はいいものです。また、修行の計画を立てるのも意外と楽しいものです。実際に取得するとどんなメリットがあるのか、詳しく見ていきます。
航空会社の上級会員について
各航空会社には上級会員の制度があります。ANAの場合は、ANAプレミアムメンバーといいます。普段飛行機にあまり乗らない人にとっては聞きなれない言葉かもしれません。一方で、旅行が好きだったり、出張が多かったりする人にとっては、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。ただ、上級会員になろうとすると、それなりの登場回数が必要です。
もちろん、ANAはJALと違って、登場回数によってステータスが決まるということはありません。プレミアムポイント(PP)というマイルとは異なるポイントを飛行機に搭乗する度に貯めていく必要があります。
私は、ヨーロッパへの出張と国内の出張・結婚式等で達成しましたが、30回程度の搭乗が必要でした。なお、今年の後半ではJGC修行も実施しました。こちらは搭乗回数で稼いだので、50回ほど飛行機に乗っています。
両者合わせると今年1年で80回以上、飛行機に搭乗していることになります。マイル修行をするなら20代のうちにと思っていましたが、少し先走りすぎたかもしれません。ただ、そのおかげで、今後国内発着便を利用する際は、ANAとJALのどちらを選んでも、上級会員の待遇を受けられるのです。すべてのサービスを使いこなすことはできないかもしれませんが、若いうちに達成しておいてよかったなと感じています。
ANAプレミアムメンバー
ANAプレミアムメンバーには、上から順に、ダイヤモンド・プラチナ・ブロンズという会員ランクがあります。ただし、これは1年限りの会員ランクです。ところが、プラチナ会員以上になると、SFC(スーパーフライヤーズ)という永年の上級会員資格に申し込める権利を得ます。多くの人がこのSFCを狙って、”修行”するわけです。ただ、めでたく上級会員になったところで、どんなメリットがあるのでしょうか。
上級会員になると得られるメリット
搭乗時、「ANAプレミアムメンバーの皆様を先にご案内します」というアナウンスを聞いたことはありませんか。まず挙げられるメリットが、この”優先搭乗”なのです。
その他にも以下のようなものがあります。(主にプラチナ会員以上を記載します。)
・プレミアムメンバー専用サービスデスクの利用
・ANAラウンジの利用(国内線&国際線)…ダイヤモンド会員はANA SUITE LOUNGE、その他の会員はANA LOUNE
・座席クラスのアップグレード
・プレミアムエコノミーへの変更(2019年10月以降変更有)
・国内線予約の先行受付
・国際線座席指定の優先
・予約時空席待ちの優先
・国際線特典航空券の優先
・国際線手数料の免除(プラチナ・ダイヤモンド会員のみ)
・優先チェックインひこうウンター
・手荷物受取の優先
・手荷物許容量の優待
・専用保安検査場の利用
・空港での空席待ちの優先
・マイカーバレーの優待:成田空港のみ
・羽田空港駐車場の優先予約
・香港国際空港の優先レーン
・アップグレードポイント
・フライトマイルボーナス(SFC:30-50%プラチナ:90-105%、ダイヤモンド:115%)
・ANAカード特別ボーナスマイル
・マイル→SKYコインへの特別倍率での交換(×1.7)
・アップグレードポイントからSKYコインへの交換
・IHG/ANAホテルグループジャパンでの優待
・ANAマイレージクラブ Financial Pass Visa デビットカード ATM出金手数料無料
・プレミアムメンバー限定 ANAセレクション
・ライフスタイルマガジンの配布
・カレンダー、ダイアリーのプレゼント
ちなみにダイヤモンド会員のみに有効なのは以下のサービスです。
・コンシェルジュサービス
・国内線特典航空券の優先
・マイル有効期限の延長
・ダイヤモンドメンバー限定 選択式特典
以上のようにかなりの特典が用意されています。飛行機にそこそこ乗る人であれば、受けられて損はない特典ばかりです。
筆者はプラチナ会員ですが、いちばんメリットを感じているのが専用保安検査場です。急いでいるときにも一瞬で搭乗口まで向かうことができます。ついで、毎回、短時間でもラウンジを利用できるのはありがたいです。出発前の時間を電源設備のあるテーブルで有効利用できます。
どんな基準がある?
すごく簡単にいえば、ANA便に乗りまくる!ということです。
ANA(全日空)の基準では、プラチナ会員になるために1年間で50000PP以上の獲得が必要とされています。(ダイヤモンドは100000PP)
冒頭でも少し触れましたが、PPとはプレミアムポイントというANA独自のポイントです。各搭乗ごとに、マイルとは別に積算されるポイントとなります。このポイント数で、次年度の会員ランクが決まります。
ちなみに計算式は以下の通りです。
プレミアムポイント=[(区間基本マイレージ)×(予約クラス・運賃種別ごとの積算率)×(路線倍率)]+(搭乗ポイント)
すべて自分で計算するにはかなり煩雑ですが、ANAサイトでシュミレータを利用することができ、出発地と到着地、予約情報を入力するだけで簡単に計算できます。
実際にマイル修行を計画するときは、自分でシュミレータを利用してフライト計画を立てました。ポイントで達成する場合、すべての旅程のマイルやPPを記憶しておくことは不可能です。効率よく修行するために、Excelシートなどに数字をまとめておくことをおすすめします。修行が終わったあとにそれらを見返すこともでき、ちょっと楽しくなります。
どんなカードがいいか
SFCという資格はANAカードに付帯するものです。つまり、必ずクレジットカードが必要です。クレジットカードはANAカードがいいでしょう。これなら普段の決済と同時にマイルがたまるだけでなく、SFC取得後もSFCカードとして利用することができます。
ANAカードの種類
今回は、SFC修行にむけたクレジットカードですので、SFCに切り替え可能なカードを記載します。以下の8種類が該当します。
・ANAワイドカード(JCB/VISA/Master)→ANAスーパーフライヤーズカード
・ANAワイドゴールドカード(JCB/VISA/Master)→ANAスーパーフライヤーズゴールドカード
・ANAダイナースカード→ANAダイナーススーパーフライヤーズカード
・ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールドカード→ANAアメリカン・エキスプレス・スーパーフライヤーズゴールドカード
・ANAJCBカードプレミアム→ANA JCBスーパーフライヤーズカードプレミアム
・ANAダイナースプレミアムカード→ANAダイナース スーパーフライヤーズプレミアムカード
・ANA VISAプラチナプレミアムカード→ANA VISAプラチナプレミアムスーパーフライヤーズカード
・ANA アメリカン・エキスプレス プレミアムカード→ANA アメリカン・エキスプレススーパーフライヤーズ プレミアムカード
まずは、この中からカードを選択しましょう。
スーパーフライヤーズカード
以上のカードからスーパーフライヤーズカードを作成することになりますが、新規でSFCを申請する場合、別途審査があります。カードの切替(ゴールド→ゴールド、プラチナ→プラチナ)なら問題ありませんが、グレードアップする場合(一般カード→ゴールド、ゴールド→プラチナ)は、万が一、審査に落ちる可能性があります。SFCの審査基準は特に公開されいないため不透明ですが、万全を期すためにSFCカードとして利用したいANAカードをあらかじめ保有しておいた方がいいです。
年会費
SFCは一度取得してしまえば生涯有効です。ただし、ANAカードに付帯する資格なので、ANAカードの年会費+αが毎年かかり続けます。まずは年会費でカードを選択するのがいいかもしれません。
各カードの年会費です。()内の数字は家族カード。スーパーフライヤーズ:SFC
・ANA SFCカード 11,070円(5,580円)
・ANA SFC ゴールドカード 16,200円(8,100円)
・ANAダイナース SFCカード 30,240円(11,340円)
・ANAアメリカン・エキスプレス・SFC ゴールドカード 33,480円(16,740円)
・ANA JCBスーパーフライヤーズカードプレミアム 75,600円(4,320円)
・ANAダイナース SFC プレミアムカード 167,400円(0円)
・ANA VISAプラチナプレミアム SFCカード 86,400円(4,320円)
・ANA アメリカン・エキスプレスSFC プレミアムカード 162,000円(0円4枚まで)
11,700円~167,400円まで、かなりの価格差があります。家族全員で持つ場合には家族カードの年会費もあなどれません。
ちなみにSFCカードは一度発行した後も、ANAカードのデスクに電話すれば、違うブランドや違うランクのカードにいつでも切り替え可能です。ただし、その都度審査はあります。
一番お得に維持するためには?
さきほど年会費を決め手にするといいと書きましたが、少しからくりがあります。
一番お得に→一番年会費を安く、と考えると、一見、ANA SFCカードがよさそうです。
単純に年会費を比較するだけでは、ANA SFCカードが安くなりますが、SFCカードでゴールドカードと同等の10マイルコースを利用する場合、マイル以降手数料として、別途6,480円(税込)(JCBは5,400円(税込))でかかります。なお、ゴールドカード以上はマイル以降手数料は無料です。マイル以降手数料を考慮して、SFCカードとSFCゴールドカードを比較すると、以下のようになります。
・ANA SFCカード 17,550円(12,060円)
・ANA SFC ゴールドカード 16,200円(8,100円)
マイル以降手数料を加えると、ゴールドカードの方が安いですね。しかし、マイル以降手数料は必ずしも毎年かかるものではありません。それならやはり一般カードでと思いますが、SFCカード(VISA/Master)では以下を満たすと年会費の割引があります。
・マイペイすリボの登録
マイペイすリボを申し込むと利用できます。マイペイすリボは、リボ払いの一種ですが、最低支払額を毎月利用額より常に高く設定すれば、手数料はかからずに利用できます。ANAカード以外の三井住友カードすべてで利用できるお得なサービスです。
・WEB明細サービスの登録
利用明細書を郵送ではなく、WEB上で閲覧できるサービスです。
上記はどちらも登録するだけで年会費の割引を受けれられます。割引後は以下の年会費です。
・ANA SFCカード 9,477円(12,060円)
・ANA SFC ゴールドカード 11,340円(8,100円)
とういとで、マイル以降手数料無料なSFCゴールドカードがいちばんお得に運用できそうです。ちなみにこれらの割引はJCBカードの場合は適用されないので注意してください。
移行レートにも注意!
各カードの移行レートはそれぞれ異なります。
VISA,Master,JCBの場合
一般カードマイル以降手数料:VISA/Master 6,480円(税込,JCB 5,400円(税込)
5マイルコース(一般カード)、10マイルコース(一般カード、ゴールドカード)、15マイルコース(プラチナカード)と分かれています。
5マイルコースは1ポイント=5マイル
10マイルコースは1ポイント=10マイル
15マイルコースは1ポイント=15マイル
とそれぞれ1ポイントあたりの交換マイル数が異なります。(すべて1000円=1ポイント)
また、5マイルコースはマイル以降手数料がかかりませんが、交換レートが低すぎます。
この点からも一般カードはゴールドカードよりもマイル交換率が悪い上に、年会費はそれほど変わりません。ゴールドカードの方がお得に運用できます。
※JCBスーパーフライヤーズカードプレミアムは、1000円=2ポイント=13マイル
ダイナースの場合
・SFCカード 100円=1ポイント=1マイル
・SFCプレミアムカード 100円=2ポイント=2マイル(ANAグループ利用時のみ2.5ポイント。ただし対象外あり。)
ダイナースSFCプレミアムカードは、2018/12/16~100円=1.5ポイント=1.5マイルへ変更
アメリカン・エキスプレスの場合
・SFCカード 100円=1ポイント=1マイル(ANAグループ利用時のみ2ポイント)
・SFCプレミアムカード 100円=1ポイント=1マイル(ANAグループ利用時のみ2.5ポイント)
結論
一番お得にSFCを維持するためには、
ANA SFC ゴールドカード(VISA/Master)がおすすめです。
プラチナカードは年会費が高すぎるため、年間のカード利用額にかなり左右されます。SFCカードをメインカードするかどうかでも全く変わってきますので、一概にどのカードがいいとも言い切れません。どんな人にもおすすめできるカードとしてSFCワイドゴールドカードを挙げています。
なお、筆者は長らくANA VISA ワイドゴールドユーザーでしたが、近年の決済額増加のため、2018年10月~ANA VISAプラチナプレミアム SFCカードに乗り換えました。現在の決済額からすると、プラチナカードの年会費を払っても、還元されるマイルで元がとれると考えたためです。ひとまず1年間保有してみて、ゴールドカードとの比較検討をしていきたいと思います。